誰にでも起こりうる悩みです

排尿に関するトラブルは、年齢や性差に関わらず、多くの方が体験していることが分かっています。
例えば、くしゃみや咳などをした瞬間に尿が漏れてしまったり、日中・夜間を問わず1日に何度もトイレに行ってしまうなど、老若男女問わずに泌尿器科を受診される方が多くなっています。
まずは症状を自覚することで、受診を考えてくださったら幸いです。

頻尿、尿漏れ

頻尿や尿漏れの症状があるときは、過活動膀胱の可能性があります。排尿トラブルの1つで、尿が十分たまっていなくても、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮するという病気です。そのため、頻尿や尿漏れといった症状が表れます。
尿の回数は個人差がありますが、日常生活で困るぐらいの症状があるときは病院を受診してください。
また、頻尿で下腹部の痛みを伴う方は、膀胱炎の可能性もあります。

治療について
  • お薬や骨盤底筋体操などで治療することができます

尿がでにくい、でない

神経因性膀胱や前立腺肥大症の可能性があります。
膀胱に尿が溜まった状態が続くと、膀胱炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)、腎不全などの病気につながることがありますので、早めの受診をおすすめします。

排尿痛

排尿時に痛みを起こす最も一般的な病気で、膀胱炎の可能性があります。
症状が軽い時は水分を多くとり、身体を休める事で改善することもありますが、症状が悪化すると血尿が出る事もあります。

治療について
  • 膀胱炎は抗生剤で治療できますので、早めに受診されてください

残尿感

神経因性膀胱、前立腺肥大症、膀胱炎などの可能性があります。
残尿感とは、おしっこをした(排尿)後も、「尿が出きっていない感じ」、「尿が残っている感じ」があるという症状です。実際に尿が残っていることもありますし、尿が残っていないのに残尿感を感じることもあります。
さまざまな要因が考えられますので、一度受診していただくことをおすすめします。

腰や背中の痛みに気付いたら

腎臓はそら豆のような形をした握りこぶし大の一対の臓器です。後腹膜というお腹の背中側、背骨の両脇、横隔膜(おうかくまく)の下に位置します。手を後ろに回してわき腹と背骨の中間あたりの場所にあります。ちょうど腰が痛い時にとんとんと叩く場所をイメージしてください。腎臓は尿を作る臓器です。体の老廃物を尿として排出します。その他にも血圧に関係する物質を作ります。普段は何も感じませんが、何らかの原因で痛みを生じる時があります。

代表的な症状

尿路結石

腰や腹部に激痛が出現することがあります。痛み止めを使用することで痛みは軽減しますが、結石の移動で尿の流れが悪くなると再び激痛が起こります。また、尿路結石の場合、血尿が見られることもあります。

治療について
  • エコー検査、レントゲン検査、CT検査で診断します
  • 結石の大きさや位置、症状によって、内服治療または対外衝撃波で結石を細かく砕く手術や、レーザーで砕石して結石を取り出す手術治療が必要なことがあります

腎盂腎炎

腰痛や腹部痛と一緒に高熱があるときは、腎盂腎炎(じんうじんえん)の可能性があります。抗生剤で治療できますが、症状が重いときは入院での治療が必要になります。早めに受診してください。

尿のチェックで健康管理を

トイレに行ったときに、「おしっこの状態がいつもと違うな」と感じたことはありませんか?実は、尿の状態で体の状態を知ることができます。健康な人の尿は、淡い黄色や淡い黄褐色をしています。
季節や食習慣で変化しますので、神経質にならず、あくまでも目安として考えていただければ幸いです。
異変が続いて気になるときは、受診してみてください。

血尿

健康な尿が淡い黄色、黄褐色であるのに対して、茶褐色、薄いピンク、赤色の尿である場合、血尿の可能性があります。血尿は尿路のいろいろな病気で出現しますが、膀胱がんや腎臓がんの可能性もあります。検診で血尿を指摘された方は、受診しましょう。

治療について
  • 尿検査・エコー検査・CT・膀胱ファイバー検査で診断できます

たんぱく尿

しばらく経っても泡が消えずに残っている場合は、腎臓がうまく働かず、たんぱく質が出ている場合があります。たんぱく尿は腎実質の障害で出現します。腎臓は体の老廃物を排出する大切な臓器ですので、早めに受診しましょう。

異臭

健康な人の尿は、ほんのわずかな臭いしかありません。感染症の場合、排尿してすぐに強い刺激臭がすることがあります。また、甘い臭いがする場合は、糖尿病の疑いがあります。気になるようでしたら、一度尿検査を受けてみる必要があります。

透明度

健康な人の尿でも、排尿してしばらくすると濁って見えることがあります。これは、尿酸塩やリン酸塩が出てくるためで、とくに問題がないことが多いです。
しかし、排尿したばかりの尿が濁っている場合は、膿や雑菌が混ざっている可能性があります。

どんなことでも相談してください

『泌尿器科』と一口に言っても、抱えている悩みは人それぞれです。
泌尿器科で受診できる症状を掲載していますので、参考にしていただければ幸いです。
また、「これは泌尿器科で診てもらえるのかな?」など、分からなくなってしまった場合は、お気軽にお問い合わせください。

前立腺がん

男性の病気です。
前立腺がんは早期にはほとんど症状がありません。がんが進行すると尿路が圧迫され、尿が出にくくなります。前立腺がんは腫瘍マーカーであるPSA(血液検査)で発見できます。60歳になった方は、一度PSAの検査をお勧めします。

前立腺炎

排尿困難、排尿時痛、高熱などの症状がみられるときは、前立腺炎の可能性があります。早めの受診をお勧めします。

治療について
  • 尿検査・採血・エコー検査で診断し、抗生剤で治療できます

勃起不全(ED)

勃起不全は英語でErectile Dysfunctionといいますが、その頭文字をとってEDと呼びます。主な原因としては、加齢、喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、うつ病、前立腺肥大症、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、神経疾患などがあり、また服用中の薬剤による副作用が原因でEDとなる場合もあります。

治療について
  • 疾患による勃起不全でない場合、自費診療となります
  • 治療薬は数種類ございますので、ご自身に合うものを選択することが可能です
  • ジェネリック薬品も取り扱っておりますので、医師にご相談ください
  • 心臓病や高血圧症の方は、症状によっては投薬できないこともございます

性感染症

尿道口から分泌物が出る、排尿時の痛みがあるというような症状の場合、急性尿道炎(性感染症)が疑われます。
パートナーに感染させてしまう事もありますので、早めに治療をしなくてはいけません。

性感染症がどんなものなのか、以下のページ(厚生労働省内のページ)に詳しく掲載されています。
これって性感染症?(厚生労働省のページ)

治療について
  • 問診と、尿検査や分泌物の検査をします。抗生剤で治療できます

夜間頻尿

夜間1回以上排尿の為に起きなければならない症状を夜間頻尿と言います。
多尿の原因として水分の摂りすぎがありますが、特に夜間頻尿になる病気としては、高血圧やうっ血性心不全腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群などがあります。
膀胱容量の減少は、少量の尿しか膀胱に溜められなくなるもので、過活動膀胱や膀胱炎、前立腺炎などで起こります。また、前立腺肥大症では膀胱にたまった尿が十分に排尿できず膀胱内に残ると、膀胱がすぐに尿で一杯になり夜間頻尿の原因になることもあります。
睡眠障害がある時は眠りが浅い為、わずかな尿意でも目が覚めるために夜間頻尿になります。治療が必要かは夜間の排尿で起きることでの困り具合によって決まります。困り具合には個人差があるので、苦痛と感じる場合は回数に関わらず専門医に相談してください。治療としては夜間頻尿の原因を確認し、泌尿器疾患の薬や睡眠薬などを投与します。

子どもの悩み

夜尿症(おねしょ)で悩んでいませんか?
夜尿症は5歳以降で月1回以上のおねしょが3ヶ月以上続く場合とされていますが、自然とよくなることが多いです。小学3年生になっても週4~6回以上夜尿があるときに受診されることをお勧めします。

男の子に多い症状では、亀頭包皮炎などがあります。おちんちんの先端が赤く腫れて痛みがあります。
小児は包皮が剥けていないので、汚れが包皮の内側に溜まり炎症を起こすことがあります。包茎改善のためにも、入浴時などできるだけ皮を剥いて綺麗にしてあげましょう。
亀頭包皮炎の症状があるときは、すぐに受診してください。塗り薬で治療ができます。